スタートレックネットワークジャーナル vol.14,15

24世紀の理想郷と違い、毎日食うために働くしかないスタートレック好きにとっては2週に一度のスターシップコレクションが心の支え。しかし、もうひとつトレッキーとして楽しみにしている雑誌がこちらだ。


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スタートレック日本語公式サイト、STARTREK.ne.jpが毎月発行するスタートレックネットワークジャーナルだ。昨年夏のサービス開始から、かれこれ1年以上になる。最初のうちは電子版PDFのみの配布だったが、最近は紙に印刷して2カ月に一度送付してくれるようになった。正直PDFで長い文書を読むのは仕事以外勘弁して欲しい老眼なので、印刷して送ってくれるのはありがたい。

内容的にはアメリカ本国のサイトの記事の翻訳が中心ぽいので、英語が堪能なファンの人は無理に買わんでもよいかもしれない。しかし訳注や説明などがついており、英語が苦手な自分としてはこうしたスタートレックの本が毎月出るのはそれだけでありがたい。あと、写真は結構大判でネットの記事より鮮明になっている。

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vol.14はラスベガスコンベンションレポートがメインの特集だった。シリーズのメイン俳優のステージが多くのファンの見所だと思うが、個人的には今年のコンベンションにハーラン・エリスンが参加というくだりに注目した。
世界の中心で愛を叫んだけもの』などのSF小説が有名なエリスンだが、実は『宇宙大作戦』のベストエピソードといわれる『危険な過去への旅』の脚本を執筆している。ところが、麻薬中毒の乗組員が過去に逃げて深刻な危機を招くという内容をロッデンベリーに大幅に書き換えられてしまい、ケンカ別れ。後には裁判沙汰にまでなり、長年スタートレックとは絶縁状態だった。まあ最近はこのエリスン版を原作したアメコミも出版されているし、当事者間の和解があったんだろう。


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vol.15はレナード・ニモイ特集(2)。レナード・ニモイのロングインタビューを翻訳掲載しており、読み応えがある。基本オフィシャルなところのインタビューなので過激なことは言っていないが、ニモイはファンを大事にする人らしく、インタビュアーの質問に誠実に答えようとしているのが伝わってくる。(いや、数カ月前のシャトナー特集のインタビューが不誠実だといいたいわけではないのよ)。印象に残ったのはJJ版の映画についての考えを聞かれたときのニモイのコメント。
「新作は、ある意味で正史を破壊した。しかし、もし平行宇宙を舞台にしなければ、新作はあらゆる意味で正史を破壊してしまっただろう」
JJ版の欠点を認めながらも、平行宇宙ものにしなければもっとひどいことになっていたという指摘は示唆に富んでいる。


良い点:毎月STARTREK.COMの記事が日本語で読める
悪い点:20ページとボリュームが少なめ
お気に入り度(5段階):☆☆☆☆